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CO₂イメージ

排ガス由来のCO₂を使用、
カーボンリサイクル技術を用いた日本発の新素材「CR LIMEX」

カーボンリサイクルとは、CO₂を炭素資源(カーボン)と捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用(リサイクル)する技術です。

回収したCO₂を原料として燃料や化学品、鉱物を製造することができるため、従来の化石燃料由来の製品と比べて、大気中に放出されるCO₂を含むGHG排出の削減を図り、気候変動問題の解決への貢献ができます。

LIMEXの主原料である炭酸カルシウムも、石灰石などの鉱物由来ではなく、カーボンリサイクルの技術によって、大気や排ガスから回収したCO₂由来の原料とすることができます。

「CR LIMEX*1」は、石灰石を主原料とする従来のLIMEXで使用されていた鉱物由来の炭酸カルシウムを、排ガス由来のCO₂と、コンクリートスラッジや鉄鋼スラグなど工場から排出されるカルシウム含有廃棄物などを、低環境負荷のプロセスで化学合成したCCU炭酸カルシウムに置き換えることで、カーボンニュートラルへの貢献を推進する低炭素素材です。

また、副原料である樹脂部分には工場から排出される廃プラスチック等を再資源化した再生プラスチックを使用しているため、プラスチックの資源循環の推進も実現します。


*1 CR LIMEXも従来のLIMEX 素材の定義と同様に炭酸カルシウムなどの無機物を 50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材に該当します。

プレスリリースはこちら

CR LIMEXの製造方法

次世代LIMEXの製造プロセス画像

カーボンリサイクルの脱炭素への巨大なインパクト

IEAの予測では、エネルギー起源のCO₂排出のうち、カーボンリサイクル技術を含むCCUS(Carbon Capture, Utilization, Storage=炭素回収・活用・貯蔵)に期待される削減貢献量は約19%でありトップ3に入っています。カーボンリサイクル技術の普及は、カーボンニュートラルの社会づくりに大きく貢献できます。

Source: IEA “Energy Technology Perspectives 2020”

急成長するカーボンリサイクルの市場

カーボンリサイクル技術を使ってCO₂を原料として作る製品の市場規模は、2022年の約1160億ドル(約18兆円)から、2050年までに、約1兆4645億ドル(約277兆円)まで成長しうると言われています。

Source: 富士経済「カーボンリサイクル/CO₂削減関連技術・材料の世界市場を調査」1ドル=155円と仮定

15年前倒しで、カーボンリサイクルの実用化を実現

カーボンリサイクルは、日本政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)戦略においても重要な取組の1つとして位置付けられています。政府の「カーボンリサイクルロードマップ」では、従来の汎用バージンプラスチックの代替となるカーボンリサイクル製品の普及開始時期が2040年頃からと設定されていますが、TBMは「CR LIMEX」開発で既に国内特許を取得し、15年前倒しの2024年に化学品の汎用品(オレフィン)におけるカーボンリサイクルの先進的な実用化を実現、普及を開始しました。

Source:経済産業省 資源エネルギー庁「 カーボンリサイクルロードマップ

15年前倒しで、カーボンリサイクルの実用化を実現

カーボンリサイクルは、日本政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)戦略においても重要な取組の1つとして位置付けられています。政府の「カーボンリサイクルロードマップ」では、従来の汎用バージンプラスチックの代替となるカーボンリサイクル製品の普及開始時期が2040年頃からと設定されていますが、TBMは「CR LIMEX」開発で既に国内特許を取得し、15年前倒しの2024年に化学品の汎用品(オレフィン)におけるカーボンリサイクルの先進的な実用化を実現、普及を開始しました。

技術のイメージ画像

Source:経済産業省 資源エネルギー庁「 カーボンリサイクルロードマップ

CR LIMEXの特徴

1.排ガス由来のCO₂の固定化を実現

排ガス由来のCO₂を化学合成したCCU炭酸カルシウムとして固定化することで、素材全体の約25%(重量比)にCO₂を含んでいます*。製品に使用された場合は、焼却処理をされない限り、排ガス由来のCO₂の長期固定化が実現できます。

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2.再生プラスチックを使用し、プラスチックの資源循環にも寄与

副原料となる樹脂部分に、廃プラスチック由来の再生プラスチック等を使用することで、カーボンリサイクル技術によるCO₂の有効活用だけでなく、プラスチックのマテリアルリサイクルを通じた資源循環にも寄与します。

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3.温室効果ガス排出量と石油由来プラスチック使用量を削減

バージンプラスチックと比較して、原材料調達・ペレット製造・焼却時における、温室効果ガス(GHG)排出量は約34%、石油由来プラスチックの使用量は約34%の削減が見込め、脱炭素や資源保全にも貢献します*。

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4.炭酸カルシウムの制御技術を活用し、安定した成形性を付与

これまでLIMEXの開発で培ってきた炭酸カルシウムの制御技術を活用することで、「CR LIMEX」においても既存のプラスチック製品の成形設備による安定した製品化が可能です。

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*推定に基づく概算値であり、保証値ではありません。製造条件等に応じて、数値変更の可能性があります。また、温室効果ガス(GHG)排出量や石油由来プラスチックの使用量は、今後のグレード追加や変更等により変動する可能性があります。

幅広く、付加価値の高いCR LIMEXの用途

CR LIMEXは、産業用フィルムや食品パッケージ、ラベル基材など、産業資材から身近な消費財まで、付加価値が高い様々な用途に使用することが可能です。
特に、建材・インテリア・エクステリア・家具など産業資材で使用することで、二酸化炭素の長期固定を実現可能にします。

技術のイメージ画像 技術のイメージ画像

CR LIMEXの開発経緯

LIMEXは、炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材です。これまでは、豊富で枯渇リスクの少ない石灰石由来の炭酸カルシウムを使うことで、石油由来のプラスチックの使用量やライフサイクル全体でCO₂排出量を減らせるプラスチックの代替素材として、また、水の消費量を減らせる紙の代替素材として、既に10,000以上(事業所数含む)の企業や自治体等に採用されています。

TBMは、2013年に経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設 備整備費等補助金」に採択され、2016年からLIMEX素材を使用した製品を社会に普及拡大、2021年には経済産業省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金(製造業等立地支援事業)」の支援を受けて、量産工場(宮城県多賀城市)を完成させ、国内及び海外においても LIMEX素材の生産体制の確立や海外現地法人の設立等によりグローバルなサプライチェーンを構築してきました。

研究開発においては、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の 「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択され、多くの国内外のパートナーとオープンイノベーションを通じた素材開発に取り組んできました。また、世界で250件以上の特許を登録し、50カ国以上で取得しています。COPやG20などの国際会議で紹介される他、日本の優れた技術としてUNIDO(国際連合工業開発機関)のサステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」 にも登録されています。

CR LIMEXの開発についても、NEDOの「地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」に採択され、また、東北大学とも共同研究を実施してきました。

今後TBMは、鉱物由来の炭酸カルシウムを主原料とする従来のLIMEXの普及を促進しながら、CO₂の固定化技術によるCR LIMEX の普及と新たな用途開発を進め、同時にカーボンクレジットの創出も目指していきます。

技術のイメージ画像

世界経済フォーラムの「Unicorn Community (ユニコーン・コミュニティ)」の一員として参加した、世界経済フォーラムの年次総会(通称ダボス会議、2024年1月15日~19日、スイス東部のダボスにて開催)にて、CR LIMEX のプロトタイプとなる射出成形製品や、シート製品の試作品を発表しました。

TBMは、新素材「LIMEX」の技術力を通じたグローバルでのイノベーションに加え、日本最大級のマテリアルリサイクルプラントの運営、LIMEXとプラスチックのマテリアルリサイクルシステムの構築、資源循環に係る事業を評価いただき、2023年6月に「Unicorn Community」に参画、現在は「アソシエイトパートナー」として参画しています。

ダボス会議ライブ2024(テレ東BIZ Youtubeチャンネル)インタビュー動画はこちら
アジェンダペーパー(寄稿記事)はこちら

開発担当者のストーリー

中村氏の画像

Tomoya Nakamura 執行役員 CKO 次世代事業本部 本部長

2008年、アクセンチュア株式会社の戦略グループに入社後、製造業クライアントの中期計画策定、新規市場参入戦略策定、営業改革、デジタルトランスフォーメーションなど幅広いプロジェクトを経験。2017年、株式会社TBMに入社し、海外展開や用途開発などに携わる。2018年、Bioworks株式会社のグループ化に関わり、取締役に就任。 2021年、SKグループとの資本業務提携に関わり、SKグループとの合弁会社であるSK TBMGEOSTONEの取締役に就任。

CCU技術の普及に向けた挑戦

この度、排ガス中のCO₂を回収し、原料として使う次世代LIMEXの開発に目途がつけられたことをとても嬉しく思います。

人口の増加、途上国の経済発展と脱炭素を両立するには、CO₂の排出量を減らすのみならず、排出されたCO₂を吸収して再利用することは不可欠であり、IEAの試算では、エネルギーセクターで2070年にカーボンニュートラルを実現するには、CCUSが約19%を担わなければなりません。

しかしながら、私たちは2070年まで待てるわけではありません。経済産業省のカーボンリサイクルロードマップでも、CCU技術を使った製品の普及は2030年頃からとなっていますが、私たちはそれを前倒しして、少しでも早くCCU技術を使った製品を社会に広めるべく挑戦して参りました。

CO₂を原料にして作る、炭酸カルシウムを含む炭酸塩は、その技術や品質の課題から、用途としてコンクリートやセメント原料がメインで考えられていましたが、コストがなかなか合いませんでした。次世代LIMEXは、この炭酸カルシウムの高付加価値な出口であり、サステナビリティ領域のトッププレーヤーを目指す私たちが先頭に立って、次世代LIMEXで、CCU技術の普及を担う責任があると感じています。

我が国のGX実現に向けた基本方針においても、TBMからのパブリックコメントの内容が認められ、CO₂削減コンクリート等のセクションに、炭酸カルシウム製品等の導入支援・需要喚起策を追記して頂くことができました。

私たちの挑戦は始まったばかりですが、応援して下さる国や自治体、多くの企業の皆様のご期待に応え、CCU技術の普及に邁進してまいりますので、引き続き応援の程、よろしくお願いいたします。

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高松氏の画像

Yorinobu Takamatsu テクノロジーセンター センター長

早稲田大学院卒業後、スリーエムジャパン株式会社にて高分子技術の研究開発に従事、Senior Specialist(Technical Ladder)という役職に就く。アクリルポリマーを主体とした接着・粘着剤の分子設計及び重合技術について研究開発、製造技術への応用業務に従事。日本国内で108件の特許出願(国際出願54件)、43件の特許取得、さまざまな製品を立ち上げ、年間200億円ほどの売り上げに貢献。2021年、TBMに入社。TBMの技術の根幹となるテクノロジーセンターにてLIMEXやCirculeXの様々な用途に適したコンパウンド材料の開発、機能性の付与、新製品の開発など、材料開発業務全般に携わる。

技術ノウハウを結集した、次世代LIMEXの開発

弊社技術拠点であるテクノロジーセンターのセンター長として、LIMEXのさまざまな用途への展開を推進しております。TBMの根幹技術は、炭酸カルシウムを代表とした無機フィラーを50%以上樹脂に均一に充填するための混錬技術および、既存の成型(射出・押出・ブロー・インフレーション・真空など)に適応するための配合技術・成形技術です。

CCU技術により得られる炭酸カルシウムと、現在主に使用している重質炭酸カルシウムは、似て非なるものであり、その生成機構の理解、性状の違いを明確化し、今まで蓄積してきた技術ノウハウを結集し、次世代LIMEXへと展開しております。身の回りのあらゆる物がLIMEXとなるよう、浸透させていきたいです。

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高橋氏の画像

Kenshi Takahashi 次世代事業本部 / 生産技術部

東北大学大学院環境科学研究科修了後、三菱マテリアル株式会社に入社。廃棄物のリサイクルプロセス開発に従事するとともに、新工場の立ち上げ支援を経験。2021年、株式会社TBMに入社。東北LIMEX工場の立ち上げや生産工程改善に従事するとともに、CR LIMEXの実現に向けた技術開発を推進。

次世代LIMEXのポテンシャルの具現化に向けて

大学時代から一貫して環境・リサイクルの課題解決に取り組んできました。30歳を迎えるにあたって新たな挑戦を求めていた中で、LIMEXに出会い、その革新的なコンセプトに加え、カーボンリサイクル技術の活用で環境性能を更に向上できるポテンシャルに大きな魅力を感じて、TBMにジョインしました。

次世代LIMEXに関する技術開発は2021年4月頃からスタートしました。しかし当時は、社内の研究環境は十分に整っておらず、具体的にどうやって研究を行うのか、リソースが限られる中でどう効率よく進めていくか、というところから考えていく必要がありました。そんな中、接点のあった東北大学の先生にご協力をいただきながら少しずつ技術検証を進め、同大学との共同研究に発展。さらにはNEDO助成事業に採択され、開発を加速。様々な苦労をしながらも、短期間で製品化の目途をつけることができたと思っています。

一方で、社会実装に向けた課題はまだまだあります。また、カーボンリサイクルで作る炭酸カルシウムには、環境性能の向上だけでなく、様々な機能を付与できる可能性があります。この大きなポテンシャルの具現化に今後も尽力していきたいと思います。

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LIMEX2.0ロゴ

Low Impact Material for Earth

進化していくLIMEXブランド

石灰石由来のLIMEXは、石のシンボルを使用しています。元々LIMEXの名称も石灰石が英語ではLimestoneであることからその名称が生まれています。

新しい技術として工場の排ガスよりCO₂を回収・再利用した炭酸カルシウムからLIMEXが誕生し、石灰石由来の炭酸カルシウムではないため、石ではないLIMEX2.0のシンボルをデザインしました。全体フォルムをXとし「無限の可能性を持っている」という今のLIMEX を継承し、日本発の環境配慮型新素材として、さらに進化したLIMEXとしてブランディングを推進していきます。

人が暮らす地球環境維持の為に、新たな化学合成技術も取り込み、LIMEXのLIMEの意味合いも「Low Impact Material for Earth」へと進化していきます。

曽根画像
Yusei Sone

曽根友星

株式会社TBM 広報・マーケティング本部
ブランド クリエイティブチーム マネージャー

大学卒業後、制作会社(Provision)、商品開発会社(GPP)、デザイン会社(TSDO)と様々なクリエイティブの現場経験9年を経て、2009年にSONE DESIGNを設立。ブランディング・ロゴマーク開発・パッケージ・エディトリアルに関わるグラフィックデザインを軸に、映像、写真、ウェブサイト、プロダクト、商品開発、展示会など幅広い分野でブランディングディレクターとして活動。2022年にTBMに参画し、ブランディングとクリエイティブを推進。

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