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TBM、横須賀市に LIMEX とプラスチックを自動選別・再生する 国内最大級のリサイクルプラントのプロジェクトを始動

~脱炭素社会、循環型社会に向けてマテリアルリサイクルを通じた資源循環モデルを推進~

株式会社TBM(本社:東京都中央区、代表取締役 CEO:山﨑敦義、以下 TBM)は、「横須賀市ゼロカーボンシティ」を宣言した神奈川県横須賀市で、使用済みのLIMEXや廃プラスチックを回収し、自動選別・再生する国内最大級のリサイクルプラント(処理能力:年間約4万トン)のプロジェクトを始動することをお知らせします。 2018年、中国による廃プラスチックの輸入制限が開始し、翌2019年には「バーゼル条約」が改正され、2021年より汚れた廃プラスチックの輸出入が世界的に制限され始めた結果、日本から海外への廃プラスチックの輸出条件が厳しくなり、廃プラスチックの自国処理のニーズが高まっています。本プラントでは、使用済みのLIMEX やプラスチックを焼却せず、自動選別・洗浄し、LIMEX 製品や再生プラスチック製品の材料となる再生ペレットを製造します。国内では、有効利用の手法として廃プラスチックの多くが焼却され、エネルギー回収されていますが、本プラントでは、焼却せずに原材料として再利用するマテリアルリサイクルを行うことで、CO2排出量や天然資源の消費の抑制を目指します。TBM は、既にLIMEXやCirculeXの事業において、事業者や消費者、自治体と連携したマテリアルリサイクルに取り組んでいますが、来年秋に稼働予定の本プラントの設立を契機に、LIMEX製品の更なる普及促進、プラスチックを巡るサーキュラー・エコノミーの実現に向けて、その先駆的な資源循環モデルの構築に取り組んで参ります。


背景

2019年、有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する「バーゼル条約」の締約国会議にて、汚れたままの廃プラスチックの輸出入を対象に加える条約改正案が採択され、海外への廃プラスチックの輸出が難しくなり、自国内でのリサイクル等による資源循環の必要性が高まっています。全世界でこれまで生産されたプラスチックのうち、リサイクルされた割合は、わずか約9%*1 に留まり、日本国内においては、2019年に有効利用された廃プラスチックの割合は約 85%(726 万t)とされています。そのうち欧米ではリサイクルと認められていない焼却によるサーマルリサイクル(エネルギー回収)の割合は、有効利用されているプラスチックのうち約 70%(513万t)を占め、家庭や事業者でごみが分別されていても、多くの廃プラスチックが焼却処理されています*2。日本政府は「プラスチック資源循環戦略」の中で、廃プラスチックを原材料のまま再利用するマテリアルリサイクルを推進しており、2030年までにプラスチックの再生利用を「倍増」することを掲げています。マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを焼却しないことからサーマルリサイクルと比較して資源の消費を抑制し、一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、廃プラスチックの各種有効利用手法の CO2排出量は、他のリサイクル手法やエネルギー回収に比べマテリアルリサイクルが最も少なく、その削減効果も発電焼却するエネルギー回収と比較して、約 2.3 倍に向上すると報告されています*3。また、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が 2021年6月に可決され、特定のプラスチック製品の有料化や、市区町村、排出事業者による分別収集、再製品化が促進されることから、プラスチック資源のリサイクルの質と量の向上が求められています。

*1 Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made
*2 一般社団法人プラスチック循環利用協会「2019年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」
*3 一般社団法人プラスチック循環利用協会 「プラスチック製容器包装再商品化手法およびエネルギーリカバリーの環境負荷評価(LCA)」
前提:本取組の対象廃プラと類似していると想定される「一般家庭から排出されるプラ容器包装」の場合の数値を参照。サーマルリサイクル(発電焼却)は発電効率12.8%、マテリアルリサイクルは樹脂製パレットと再生材パレットのCO2排出量の比較を参照。


概要

TBMは、資源枯渇や気候変動などのグローバルな環境問題の解決に向けて、石灰石を主原料とするマテリアルリサイクルが可能な日本発の新素材 LIMEX(ライメックス)などの開発、製造、販売を通じて、石油由来プラスチックの使用抑制、CO2排出の抑制および石灰石という国産資源の活用、ならびにパートナー企業や自治体とのクローズドループリサイクルによる使用済み LIMEX の循環モデルの構築を推進してきました。2020年7月には、使用済みのLIMEXや廃プラスチックを資源として再生利用する素材「CirculeX(サーキュレックス)」を立ち上げ、世界全体で高まる再生材料のニーズに応えるために、CirculeX製のごみ袋など、再生材料の用途開発に取り組んできました。本プロジェクトは、現在、6,000社を超える企業や団体にプラスチックや紙の代替素材として用いられている使用済みのLIMEX や、国内に滞留し処理ニーズが高まる廃プラスチックを、横須賀市の収集運搬業者などと連携しながら回収し、マテリアルリサイクルを推進します。なお、本プラントは、神奈川県による県内経済の活性化と雇用の創出を目的とした企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」に認定されています。


リサイクルプラントの特徴

LIMEX と汎用プラスチックを自動選別し、再生利用する世界初のプラント
海外の大手選別機メーカーと連携し、近赤外線による素材検知・選別の検証を進め、プラスチックや紙などの他   素材から LIMEX のみを自動選別する独自のプログラムを開発しました。回収された使用済みのLIMEXや廃プラスチックなどから、LIMEX 製品や再生プラスチック製品の材料となる再生ペレットを製造します。

プラスチックのリサイクルプラントとして国内最大級
本プラントは年間約4万トンの処理能力があり、年間約2万4,000トンの再生ペレットの生産能力を有する、国内最大級のプラスチックのリサイクルプラントとなる予定です。価格競争力を有する再生ペレットへマテリアルリサイクルすることにより、CO2排出を抑制し、「横須賀市ゼロカーボンシティ」の推進に寄与します。

従来、焼却処理されてきた雑多な事業系の廃プラスチックを再生する先進性
リサイクルプラントの多くは、回収対象物が絞られた工場からの廃プラスチックを回収し、再生ペレットを生み出しています。本プラントでは、自動選別ラインの導入により、これまで焼却処理されていたオフィスや工場などから排出される雑多な事業系の廃プラスチックなども積極的に受け入れ、再生することが可能となります。

家庭からの製品プラスチックの再生に先駆的に着手
2022 年以降、家庭から出る廃プラスチック全般を一括回収する新たな分別区分「プラスチック資源」に対応したリサイクルのシステムが求められる中、本プラントでは、家庭から排出される雑多な廃プラスチックを選別、再生することが可能です。

[リサイクルプラント 概要]
・所在地 神奈川県横須賀市神明町58-8の一部
・敷地面積 13,693.50 m²
・建物床面積 7,859.85 m²
・引受量 約 40,000 t/年
・生産量 約 24,000 t/年
・稼働開始月 2022 年秋(予定)


山﨑敦義 TBM 代表取締役CEOのコメント

当プラントはLIMEXを回収、選別、再生する世界初の拠点であり、ゼロカーボンシティを目指されている横須賀市にてこの大きな一歩を踏み出させていただけることは非常に光栄です。また、廃プラスチックの輸出規制を契機とした国内でのプラスチックリサイクルのニーズの高まりに対して、この横須賀の地を起点として市内の企業の皆様と協業させていただきながら、新しい資源循環のモデルを構築し、国内外に発信、展開して参ります。今後もTBMは、サステナビリティ領域で世界のトッププレーヤーになることを目指し、邁進いたします。


上地 克明 横須賀市長のコメント

横須賀市は、本年1月に「横須賀市ゼロカーボンシティ宣言」をし、10月には「地球を守れ 横須賀ゼロカーボン推進条例」を制定する予定です。これらの本市の取り組みと御社が本市に建設を予定している新プラントでの環境に配慮した素材の製造は、共に脱炭素社会への移行に向けた地球温暖化対策の推進に資するものです。また、廃プラスチックの発生抑制、再生利用に留まらずアップサイクルを実現させる御社の取り組みは、環境への負荷をできる限り軽減するために本市が目指す「未来へつなぐ“循環型都市よこすか”の推進」とも通ずるものであり、今後、どのような協力、連携が可能であるか考えていきたいと思います。御社の新プラントにより、横須賀から世界へ、サステナブルでゼロカーボンを目指す取り組みが発信されることを期待しています。