プレスリリース

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環境配慮型素材「LIMEX」を手掛けるTBMとカーボンリサイクル技術を有するGreenore、CCU炭酸カルシウムの普及に向けた業務提携契約を締結

株式会社TBM(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:山﨑敦義、以下TBM)は、Greenore Limited(本社:英国、CEO:Xiaozhou (Sean) Zhou 、以下Greenore)及びGreenoreのグループ会社と、Greenoreが開発したLCA(環境影響評価)において、カーボンネガティブ*1が見込まれる炭酸カルシウム(以下、CCU炭酸カルシウム)を主原料とした低炭素素材「次世代LIMEX」*2の開発及びCCU炭酸カルシウム普及に向けた業務提携を行うことで合意しました。

排出される CO2を分離・回収し、多様な炭素化合物として再利用するカーボンリサイクル技術は、大気中への CO2の排出を抑える重要な技術の1つとして、国内外で注目されています。今回の提携は、TBM が石灰石を主原料とする鉱物由来の炭酸カルシウムを使用した環境配慮型素材LIMEXの素材開発で培った技術と、Greenore が開発したCCU(Carbon Capture and Utilization:CO2の回収・利用)技術を組み合わせることで、環境負荷を抑えたカーボンリサイクル製品の普及・拡大を目的としています。なお、排ガス由来の CO2を回収して化学合成することで、LCA においてカーボンネガティブが見込まれる CCU 炭酸カルシウムの製造が可能になります。

1:経済活動による温室効果ガス排出量よりも、除去・吸収される温室効果ガスの量が多い状態。

2:次世代LIMEXも従来のLIMEX 素材の定義と同様に炭酸カルシウムなどの無機物を 50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材に該当します。


背景

TBMは、「進みたい未来へ、橋を架ける」をミッションに掲げ、環境配慮型の新素材「LIMEX」、再生素材「CirculeX」の国内外への普及やマテリアルリサイクル工場の運営及び資源循環プラットフォームの構築・運用に取り組んでいます。地球温暖化や資源枯渇、プラスチックによる環境汚染などの地球規模の社会課題に対する事業展開が評価され、2023年には世界経済フォーラム(ダボス会議)のユニコーン・コミュニティに参画し、経済産業省が運営するインパクトスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup Impact」の30社のうちの1社として選定されています。CCU技術を活用した素材開発においては、日本政府が掲げる「GX実現に向けた基本方針」の戦略やロードマップに基づき、NEDOの「地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」での採択や、また、東北大学との共同研究の実施などを通じて、工場や発電所などから排出されたCO2を固定化して炭酸カルシウムを生成することに取り組んできました。

Greenoreは、2016年に米コロンビア大学からのスピンオフ企業であり、CCUS技術の開発に取り組んでいたコロンビア大学の研究チーム、Alissa Park教授とDr. Sean Zhouが共同で設立しました。2023年、中国国営製鉄メーカーである包頭鉄鋼との合弁会社を通じて、Greenoreは世界に先駆けてCCU炭酸カルシウムの量産工場を立ち上げました。


提携内容

TBMは、Greenoreが製造した、ケミカルプラントから排出されるCO2を回収し、製鉄工場から排出される副産物である鉄鋼スラグに含まれるカルシウムイオンと化学合成することで、LCA上、カーボンネガティブが見込まれる炭酸カルシウムを、LIMEXの主原料として使用した「次世代LIMEX」を開発しました。この革新的な製品は、2024年のダボス会議でプロトタイプとして発表されました。

本提携では、TBMとGreenoreがそれぞれの強みを活かし、CCU炭酸カルシウムの普及に向けた取り組みを推進しています。

・TBMによる、CCU炭酸カルシウムを主原料とした次世代LIMEXの開発

・日本国内でのCCU炭酸カルシウム普及を目的としたテストマーケティングの独占的な推進

・将来的な日本国内でのCCU炭酸カルシウム製造の独占的な可能性検証・フィージビリティスタディ

これらの取り組みは、カーボンニュートラルを目指す両社のビジョンを具現化するものであり、持続可能な社会の実現に貢献することを目指していきます。

GreenoreのCCU炭酸カルシウムを使用した次世代LIMEX

TBM 代表取締役CEO 山﨑敦義 コメント

この度、排ガス中のCO2を吸収し、カーボンネガティブを見込むCCU炭酸カルシウムを主原料とする次世代のLIMEXの開発に目途がつき、更には、LIMEXのみならず、広くこのCCU炭酸カルシウムを普及させ、脱炭素社会の構築に貢献するべく、志を同じくするGreenore社との提携を発表できることを、大変嬉しく思います。  Greenore社は人類のためにより良い地球を実現することをミッションに掲げており、将来世代のため、サステナビリティ領域のリーディングカンパニーを目指すTBMにとっても、ビジョンを共有できる有力なパートナーだと考えています。TBMはこれからも、脱炭素と、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、革新的な技術開発、社会実装に取り組んで参ります。

 

 

Greenore Limited CEO Xiaozhou (Sean) Zhou コメント

TBM 社と提携し、LIMEX のようなCCU 炭酸カルシウムを使用した製品を開発し、その普及を図ることができることは、非常に光栄です。Greenoreは、10 年前から、コロンビア大学の研究室で技術の商業化に取り組み、2023年には世界で初めてとなる、鉄鋼スラグを使った二酸化炭素の炭酸塩化の商業プラントの立ち上げに成功しています。今回の提携は、二酸化炭素の炭酸塩化技術を次のレベルに引き上げることができます。CCU 炭酸カルシウムを使用したLIMEX製品が、私たちの日常生活で広く使用されるようになるのが待ち遠しいです。地球の持続可能性という目標をTBM 社と共有するGreenoreは、世界各地でCCU プラントを立ち上げる努力を続け、世界の脱炭素化に貢献していきます。

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