プレスリリース

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TBM、素材開発におけるMI活用に向けた取り組みを開始

~新素材「LIMEX」や再生素材「CirculeX」など環境配慮型の素材開発の加速を目指す~

株式会社TBM(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:山﨑敦義、以下TBM)は、この度、材料(マテリアル)の開発に、統計分析などの情報科学(インフォマティクス)を応用した「マテリアルズ・インフォマティクス」(以下MI)の活用に向けた取り組みを開始したことをお知らせいたします。

TBMは創業以来、石灰石を主原料とする環境配慮型の新素材「LIMEX(ライメックス)」およびLIMEX製品の開発・製造・販売に取り組み、既存のプラスチック成形機に対応する加工性や用途別に求められる物性に応じた素材開発に注力してきました。LIMEXの副原料である熱可塑性樹脂については、すでに植物由来や生分解性、海洋生分解性を備えた原料や、再生樹脂に置き換える技術開発を進め、一部、製品化され販売も開始しています。 世界中で急速に高まる環境配慮素材へのニーズに応えるために、素材開発の短期化および高度化、製造品質の向上を実現することが不可欠です。今後TBMは、LIMEXや再生素材「CirculeX(サーキュレックス)」など環境に配慮した素材開発の飛躍的な効率化・高度化を目指し、先進技術であるMIの実用化を推進します。本取り組みを通じて、開発・製造に関する技術データ基盤を確立させ、新素材開発に取り組むスタートアップとして、グローバルでの事業拡大に向けた競争力を強化してまいります。


背景

MIとは、統計分析などのインフォマティクスの手法により、材料開発を高効率化する取り組みです。これまで多大な時間と費用を要していた材料開発において、統計的な手法を用いて革新的な機能を有する新素材の開発や製造条件の探索を短期化する取り組みとして、世界各国で化学・素材メーカーが成果を上げ始めています。 日本国内では、文部科学省および経済産業省が、2020年7月に閣議決定された「統合イノベーション戦略 2020」において「マテリアル革新力強化戦略」を策定し、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」など、日本政府が主導するMIの普及拡大に向けた様々な取り組みが行われています。近年では、国内の大手企業でも、機械学習を活用して材料設計や物性値等に関するデータを分析し、新規材料探索を効率的に行う事例が生まれてきています。


概要

単一素材と同様にリサイクル可能な複合素材であるLIMEXや再生素材CirculeXの開発においては、大手の素材、化学メーカー出身の研究開発のメンバーが中心となり、当社のテクノロジーセンターや自社製造拠点である白石工場・多賀城工場・横須賀工場にて、材料設計や製造条件の確立、物性評価などの品質管理を行っています。また、現在のLIMEXのさらなる環境性能の向上や次世代の素材開発、再生素材の高付加価値化に向けた研究開発を推進しています。これまで、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」での採択や、知財活用を評価する「知財功労賞経済産業大臣表彰」の受賞、世界の革新的な技術を評価する中国のアワード「100 Best Industrial Innovations for International Technology Transfer」でのTOP20選出など、当社の研究開発について国内外から評価を得てきました。

様々な業界で環境配慮素材へのニーズが加速する中、圧倒的な規模とスピードでグローバルでの事業拡大を目指すTBMは、先駆的にMIを活用することで、環境配慮型の素材・製品における開発期間の短縮化や機能性の高度化、品質の安定性向上を目指します。

今回、日本企業での導入実績を持つ米国のMIベンチャー、Enthought社が提供する「マテリアルズ・インフォマティクス・アクセラレーションプログラム」を導入し、これまで蓄積してきた開発・製造に関する多様なデータを基盤に、MIの実用化に向けた以下の取り組みを推進していきます。


<今回の取り組み>

・社内のMI能力開発・人材育成
・体系的なデータ管理体制の構築
・素材開発課題を解決するMIソリューションの構築