AI時代、弁護士の「付加価値」はどこに向かうのか?
オーダーメイド研修で所内全弁護士の意識変革に取り組んだ法律事務所の挑戦
写真左から弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 鮫島氏、多良氏、根岸氏、髙野氏
- 会社名弁護士法人内田鮫島法律事務所
- 業種弁護士事務所
- URL弁護士法人内田鮫島法律事務所HP
目次
生成AI研修の受講背景と効果
- 【現状課題】
- 昨今のAIの進化により、知識量の多さ等で差別化してきた弁護士の付加価値が、AIによって侵食されるおそれがある
- AI活用による弁護士の稼働時間の短縮が、タイムチャージ制という報酬体系と構造的な矛盾を生じさせるおそれがある
- 【研修受講の決め手】
- AI研修専業ではないTBMが実施していることによる高い信頼感
- 弁護士業務に密着したオーダーメイドのカリキュラム提供
- 弁護士実務を「理解しようとする」歩み寄りの姿勢
- 【研修の効果】
- 契約書・意見書等のドラフト作成時間の大幅な短縮が期待される
- 生成AI活用時の情報セキュリティ等の注意事項に対する弁護士の意識が大幅に向上した
各弁護士が有する技術・ビジネスへの理解を基盤とし、知財・法務のスキルを活用し、顧客にソリューションを提供する「技術法務」のパイオニアである、 弁護士法人 内田・鮫島法律事務所。同事務所では、「技術法務で、日本の競争力に貢献する」ことを事務所の存在意義として掲げている。
昨今の生成AIの急速な進化は、知識量の多さ等で差別化してきた弁護士の付加価値の侵食や、AI活用による弁護士の稼働時間の短縮に伴うタイムチャージ制という報酬体系との構造的矛盾等の経営課題を突きつけることになるだろう。同事務所は、この構造的な変革期を乗り越えるため、生成AIの積極的な活用と、弁護士の持つ付加価値の再定義を重要課題の一つとして認識している。
その具体的な取り組みとして、所内全弁護士を対象とした生成AI研修を実施した。研修内容は一般的なものとせず、弁護士業務にできるだけ密着したものとし、同業界の実務に摺りわせたTBMの「オーダーメイドカリキュラム」を選定した。
研修実施の結果、契約書・意見書等のドラフト作業時間の大幅な短縮が期待されるに至った。また、生成AI活用時の情報セキュリティ等の注意事項に対する弁護士の意識が大幅に向上した。
生成AIの積極的な活用と、弁護士の持つ付加価値の再定義という本質的なテーマに挑む、同事務所の挑戦の軌跡と具体的な成果を、本研修プロジェクトを推進された皆様に伺った。
業界の危機感を理解し、期待値を大きく超えたオーダーメイド研修
- 今回弊社の生成AI研修を受講された背景を教えてください。
-
鮫島氏
「 TBMさんは、弊所とは昔からお付き合いのある会社です。何よりもAIの研修業者では無いということが実は結構決め手になりました。信頼感がもう既にあり、AI研修で飯を食っている業態ではないというのが決め手ですかね。」
- 今回TBMの生成AI研修を受講されて良かったポイントを教えてください。
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鮫島氏
「 これまでコンサルや色々なサービスを取り入れてきましたが、いつも感じるのが『この人たち弁護士業務や我々の実務が分かってないな』ということでした。それは当業者では無いのでしょうがないと思いますが、TBMさんの研修はかなりディープに我々の仕事に密接に密着したオーダーメイドの研修を作っていただき個人的には非常に満足しております。」
代表パートナー/弁護士・弁理士 鮫島 正洋氏今回、内田・鮫島法律事務所様に提供した生成AI研修は、内田・鮫島法律事務所向けのオーダーメイド化にこだわりました。
弁護士業務は、法的妥当性・根拠確認・リスク管理など、高度な専門性と正確性が求められる特殊な業務であり、一般的な業務効率化とは異なる前提があります。その点を踏まえ、専門性を基にした業務直結型のカスタマイズカリキュラムを設計できた点を今回高くご評価いただきました。
実際に、各回の例題やプロンプトは弁護士業務を想定した内容として設計しており、そのままGPTs(ChatGPTのカスタムモード)等に登録してご活用いただくケースを想定して設計しました。
また今回ご受講いただいた研修概要はこちら。
【生成AI研修講義の概要】
- 【第1回:基盤構築】
- AIの得意/不得意の理解
- セキュリティ/情報漏洩対策
- ハルシネーション対策(出典確認・ダブルチェック)
- 【第2回:文書生成】
- プロンプト5原則(明確性/構造化など)
- 高度テクニック(思考の連鎖・比較分析など)
- 実務想定の書面ドラフト作成
- 【第3回:情報整理】
- 要約/抽出/統合の技術
- NotebookLM活用
- 説得力ある資料作成
- 【第4回:応用演習】
- 文章品質向上(正確さ/分かりやすさ/説得力)
- 契約書レビュー
- 英文文書対応
- 【第5回:業務自動化】
- 議事録/メール作成の自動化
- RAG/AIエージェント基礎
- 専門ツール×生成AIの使い分け
- 【第6回:統合実践】
- AIブレスト活用
- 模擬演習(書面作成〜反論まで一連対応)
TBMの自社実践ノウハウを凝縮。
受講料の最大75%が助成されます。
所内全弁護士に浸透したAI活用意識
- 生成AI研修を受講いただき1ヶ月程度が経過しましたが、実際に弁護士業務の中で受講前と受講後の変化を具体的に教えてください。
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髙野氏
「 これまでは個々の弁護士が手探りで生成AIを活用してきたという印象でしたが、今回の研修を受けてセキュリティの意識が高まったと感じます。生成AIを活用するにあたり、どこまでが許せて、どこまでは許せないのか、その線引きを正しく意識することが重要だと思っています。生成AI活用時の情報セキュリティ等の注意事項に対する意識が大幅に高まりました。」
- また今回は、所内の一部の弁護士の受講予定から所内全弁護士への受講に切り替えていただきました。その背景を生成AI研修受講後のアンケートにおいて髙野氏より下記コメントをいただきました。
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髙野氏
「 私は、所内で先行して受講しましたが、受講後の印象として、本研修の意義は、①生成AIを使うことに慣れることだけでなく、②生成AIが自分たちの近くに迫っているという、一種の危機感のようなものを弁護士が感じること(生成AIが自分たち弁護士業務にどう影響するか各自に考えること)にもあると感じました。私が、本研修を所内全弁護士向けに薦めた理由は、この危機感のようなものを全弁護士にそれに接してもらう必要性があると考えたからです。今回の研修内容は、それを感じさせるだけの内容になっていました。」
パートナー/弁護士・弁理士 髙野 芳徳氏多良氏にも同様の質問をさせていただきました。
- 生成AI研修を受講いただき1ヶ月が経過しましたが、実際に弁護士業務の中で受講前と受講後の変化を具体的に教えてください。
-
多良氏
「 スライド作成において生成AIで作成することは、正直最初はあまり期待していませんでした。ただ、この間生成AIで作ったスライドの完成度は60点、いや70点ぐらいになり、作業量としては相当減りました。これにより短縮できた時間を、より質の高い検討に充てることが出来ました。」
また、生成AI研修受講後のアンケートにも下記コメントをいただきました。
- 研修受講後の今、どのような業務で生成AIを活用出来そうですか?
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多良氏
「 (契約書・意見書等の)ドラフト作成について、今後かなり有意義になると思います。アウトプットをそのまま使えるというものまでは行かなくても、一から作成する場合と比べ、時間短縮ができ、その分、ブラッシュアップに時間を使うことができることが有意義と感じています。」
アソシエイト/弁護士 多良 翔理氏AI時代の新たな戦い方:不可欠な「レビュー能力」の育成
- 最後にAIの活用により皆さんの貢献に繋がり、結果的にお客様への成果に繋がるのか、についてご意見を伺いたいです。
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根岸氏
「 AIを使いこなす能力に加え、AIのアウトプットを的確に評価・指示できる 『レビュー能力』が極めて重要だと思います。お客様でも『AIで契約を作ったのでレビューしてくれ』という依頼も増えています。現時点では、自分たちが一から作った方が早いなと思う一方で、そのうちAIのレベル感が上がってくるので私たちもAIを上手く活用し正しくレビューする能力が求められています。」
アソシエイト/弁護士 根岸 秀羽氏TBMの自社実践ノウハウを凝縮。
受講料の最大75%が助成されます。
今回は、弁護士法人 内田・鮫島法律事務所の4名の弁護士に生成AI研修受講後のインタビューを実施しました。
TBMの生成AI研修は、高度な専門性が求められる弁護士業務に密着した「オーダーメイドカリキュラム」を通じ、AI普及による構造的な変革期に対応するための意識変革を促しました。その結果、契約書・意見書等のドラフト作成時間の大幅な短縮が期待され、セキュリティ意識の浸透、所内全弁護士への展開といった具体的な成果を実現しました。
この事例は、単なる業務の効率化に留まらず、AIのアウトプットを評価・指示できる「レビュー能力」の育成を通じて、弁護士の「付加価値」を再定義するという本質的な挑戦の軌跡を示しています。
TBMは、引き続き、構造的な変革期に直面しているとされるコンサルティング業、士業、および知識労働企業に対し、生成AI活用の最適化からビジネスモデル転換の支援までを視野に入れた包括的なパートナーとして伴走してまいります。
