世界における水資源の危機

地球上の水

地球は、表面の70%が水で覆われています。そして、地球にある水の 97.5%は塩水で、淡水はわずか 2.5%となっています。その淡水の中でも、70%は氷河・氷山として固定されており、利用できる水は、残りの30%で土中の水分に含まれています。その中でも人間が利用しやすい河川等の地表水は淡水のうち約0.4%となっており、地球上全体では、全ての水のわずか約0.01%しか存在しません※1。

水危機は、世界経済フォーラム(ダボス会議)において、今後10年に懸念されるグローバルリスクとして、2015年に1位、2016年および2017年には3位として位置付けられ、気候変動、異常気象、そして大量破壊兵器等と並び影響力の大きい課題として挙げられています※3。水危機の中でも主要な問題である水不足は、途上国における人口増加や産業の発展によって拡大する水需給に加え、気候変動による水循環の異変等※2の原因により世界において深刻化しています。また、水不足は、農業用水不足による食糧危機、国際水紛争、生物多様性等※1の重大な問題を引き起こしており、環境・社会課題として対策が急がれています。

世界人口の4割が「水ストレス」状態に

生活、農業、工業、エネルギー及び環境に要する年間一人当たりにおける水資源量の最低基準1,700m3 を下回る状態を「水ストレス」、同様に1,000m3 を下回る状態を「水不足」、500m3 を下回る場合を「絶対的な水不足」と指します※4,※5。

国連環境計画(UNEP)の発表によると、2025年までに、特に西アジア地域、北アフリカ地域、サハラ以南のアフリカ地域の国々を含む48か国の28億人が「水ストレス」または「水不足」に直面し、「絶対的な水不足」においては18億人が陥るとすると予測されております。また、2050年までには、「水ストレス」または「水不足」の状態において、54か国まで拡大し、世界で40億人(世界人口の約4割)もの人々に直面することが予測されています※6。

「水ストレス」状態に直面する中東地域

「水ストレス」では、安定的に水を利用できない状態を指します。世界資源研究所(World Resources Institute)の発表※7によると、2040年において、水ストレスの最も高い状態に直面する国として33か国が挙げられており、その内、チリ、エストニア、ナミビア、ボツワナにおいては、今以上に大幅に悪化することが予想されています。また、その33か国の中でも14か国(バーレーン、クエート、パレスチナ、カタール、UAE、イスラエル、サウジアラビア、オマーン、レバノン等含む)が中東地域であり、世界で最も水ストレスの高い地域となっています。特に、サウジアラビアでは、国内の水資源枯渇の懸念から、政府の政策によって、2016年に国内における小麦生産が中止され、少数のサウジアラビア農家による生産を除いては、完全な輸入依存となっています※8。

世界資源研究所発表による2040年に水ストレスに直面する上位36カ国*7

「仮想水(バーチャルウォーター)」と世界の水への依存が高まる日本

「仮想水(バーチャルウォーター)」とは、キングス・カレッジ・ロンドンの名誉教授アンソニー・アラン氏が紹介した概念であり、輸入する農畜産物や工業製品を国内で生産したと仮定した際に必要な水量を推定したものです※10,※11。国際貿易を通して、あらゆる国が仮想水を輸出・輸入しています。仮想水の輸出が多い国には、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、タイ、オーストラリア、また、輸入が多い国には中国、日本、EU諸国、中東等が挙げられます。

日本では、世界平均値のおよそ2倍に相当する年平均1718mmの降水量に恵まれ、生活用水、工業用水、農業用水に対して安定した供給されており、水危機を実感することがないように思われますが※12、先述した通り、日本は、世界においても仮想水を多く輸入しています。2005年の計測では、海外から日本に輸入された仮想水の量は800億m3 であり、その輸入の大半は食糧※1となっています。この「食糧」については、生産(栽培、飼育、生産の加工等)において大量の水が必要となるため、食糧の輸入量が多いとその分生産に使用した水を輸入したということになります。

水資源への需要の高まり

経済協力開発機構(OECD)の「OECD Environmental Outlook to 2050(2012)」の報告によると※9、2000年から2050年の間に、全体で55%の増加が予想されています。特に、全体で最も増加率が高く推計されている製造業の工業用水(400%超)は、ビジネス利用において大きな影響があり、今後の事業活動での配慮が必要になります。また、生活用水においても30%超の増加が見込まれており、水需要の増大が、水資源の問題をより深刻にする可能性があります。

OECD発表による、世界の水需要予測*9

関連情報